「コンテナ物語」

コンテナ物語―世界を変えたのは「箱」の発明だった

コンテナ物語―世界を変えたのは「箱」の発明だった

成毛さんのブログより。
ゴールデンウィークに読むべき本 『エコノミスト 5/5・12合併号』掲載 - 成毛眞ブログ
『コンテナ物語』 - 成毛眞ブログ

コンテナ
 第一章  最初の航海
 第二章  埠頭
 第三章  トラック野郎
 第四章  システム
 第五章  ニューヨーク対ニュージャージー
 第六章  労働組合
 第七章  規格
 第八章  飛躍
 第九章  ベトナム
 第十章  湾岸
 第十一章 浮沈
 第十二章 巨大化
 第十三章 荷主
 第十四章 コンテナの未来

マルコム・マクリーンを主人公としたコンテナ、陸・海・空、トラック・船・飛行機で運ばれている「箱」の話です。
身の回りにあるモノではないですが、当たり前と思っていたコンテナも最近だとDVDの規格争いのようなことがあり、そして、ただの箱がどのように世界に影響を与えたのかが書いてあります。


コンテナの革命の始まりは、マルコム・マクリーンが1956年4月26日にニュージャージー州ニューアーク港からアイデアルX号に載せられたコンテナがヒューストンに入港したのが始まりとされています。
ただし、マルコムの業績を狭い意味では20世紀初めの輸送方式を応用しただけで革命とは言えないそうです。しかし、海運業は船を運航する産業ではなく貨物を運ぶ産業と見抜いた先見性、これがなければ、今日のジャストインタイムなどは全く出来なかったでしょう。
具体的にコンテナどのように現在に至ったのかは、本書で。十四章までありますが、各章が程よいページ数でまとまっていたので読みやすかったです。


本書ではコンテナについて次の3つのテーマで書かれています。

・輸送技術の変化がもたらした影響
イノベーションの重要性
・輸送コストと経済地理学との関連性

また、イノベーションについて次のように書かれています。

今日問題になるのは「資本や労働者をどれだか集められるか」ではない。「イノベーションによって資本や労働者をどれほど効率に使い、より多くのモノやサービスを生み出せるか」なのだ。そして、研究の結果、新技術それ自体はさほど経済的な利益を生まないことがあきらかになった。経済学者のネイサン・ローゼンバーグが指摘するとおり、「イノベーションは最終的にはそれが最も適した用途に応用されるが、初期段階ではうまく適応できないことが多い。」新技術の導入を阻むのは、新しいやり方に対する抵抗感である。(p.26,27)