パラダイス鎖国

パラダイス鎖国 忘れられた大国・日本 (アスキー新書 54)

パラダイス鎖国 忘れられた大国・日本 (アスキー新書 54)


ポイント:国内市場の大きさ

現代の大国ニッポンの姿
 これらの現状の事態を総合すると、日本は、次のような特徴を持っていることがわかる。
1 世界2位の経済規模を持ち、その地位は現在でも安泰である。
2 アメリカと同様に、国内市場がきわめて大きい。
3 アメリカでの存在感は最近低下している。
4 日々の生活で実感できる「豊かさ」指標では、欧米の大国をしのぐ水準にある。
5 国民全員が享受できる基本的なもの意外では、設備や変化が進まない。
6 経済は90年代以降の停滞から完全に脱していない。
7 財政赤字、累積債務、政府部門の効率の悪さが際立った問題である。(p.075、076)

国内市場が大きいがゆえに、国内市場向けの商品の比率が大きいままで企業が継続できている理由が書いてあります。

90年代半ばまで、すなわちアナログ時代には、アメリカでも松下、NEC日本電気)、富士通沖電気三菱電機などの日本製の携帯電話端末が活躍していた。総務省『平成19年版情報通信白書』によると、97年の世界市場における携帯電話端末の国別シェアでは、日本が33.3%で世界のトップであった。(p.034)

そして、上記「5 国民全員が享受できる基本的なもの意外では、設備や変化が進まない。」という特徴を持っているため、例えば携帯電話でもデジタル方式を決められず世界のトップの時期もあったのに陥落することとなりました。

結論からいうと、日本とアメリカは「パラダイス鎖国」の同士なのである。いや、むしろアメリカのほうがその度合いは強烈だ。日本よりさらに大きな国内市場を持ち、生活水準の高い暮らしにもっと長い歴史を持つアメリカでは、外国のことにまったく興味がなく、国内だけに閉じた生活で不便を感じないという人や企業が大半を占める。日本人が接触を持つ機会が多い、ニューヨークやシリコンバレーに住む国際感覚豊かなアメリカ人は、実は例外的な人たちなのだ。(p.117)

例えば、アメリカの自動車業界の対応を見ると確かにそうかも知れません。でも、電気自動車時代に突入したとき、日本の自動車業界も上記のアナログ携帯電話のように、取り残されてしまうかもしれません(藤井清孝氏が直伝する「グローバル・マインド」実践講座シリーズ第3回 - Nの世界)。

目次
第1章 「パラダイス鎖国の衝撃」
 Ⅰ 失われゆく「海外」の輝き
 Ⅱ 『HEROES/ヒーローズ』に見る日本人
 Ⅲ パラダイス鎖国・産業編
第2章 閉じていく日本
 Ⅰ 輸出は「悪」か?
 Ⅱ 閉じていく日本のカタチ
 Ⅲ パラダイス鎖国という現実
第3章 日本の選択肢
 Ⅰ 21世紀の「ゆるやかな鎖国
 Ⅱ 「豊かさ」の戦略
 Ⅲ アメリカに何を学ぶか
 Ⅳ 多様性の国を目指して
第4章 日本人と「パラダイス鎖国
 Ⅰ モーレツ社員でもなく、引きこもりでもなく
 Ⅱ 雇用慣行が日本人を変える
 Ⅲ 「脱・鎖国」の日本人

参考
michikaifu’s diary
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/d71d1f1605b452fcc0d7fa98ef466d48


日本の電機産業再編へのシナリオ―グローバル・トップワンへの道

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